「鹿」 (村野四郎)

鹿は 森のはずれの
タ日の中に じっと立っていた
彼は知っていた
小さい額が狙われているのを
けれども 彼に
どうすることが出来ただろう
彼は すんなり立って
村の方を見ていた
生きる時間が黄金のように光る
彼の棲家すみかである
大きい森の夜を背景にして