詩句を読む

夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に 水引草に風が立ち 草ひばりのうたひやまない しづまり ...
私らはたたずむであらう 霧のなかに 霧は山の沖にながれ 月のおもを 投箭のやうにかすめ 私らをつつむ ...
ささやかな地異は そのかたみに 灰を降らした この村に ひとしきり 灰はかなしい追憶のやうに 音立て ...
 紙王寺 一人の旅人が求めるものは 幾夜さのあめかぜに 余分のものを削りとられたのちの形が そのまま ...
虚しい明るみから逃れるために どこかに休息所はないものかと 私はこの地上に窪みを求める 虫なく秋を ...
五月の朝の白い月が 階段をのぼる 制服をつけた婦人は 美しい影を持つてゐる それは風の中でひらめいて ...
果てしない闇が樹の枝に引掛つてゐる ーつの手があちこちの戸を締めてゐる 家を劬いたはるやうに 叮嚀て ...
  野ざらしをこころに風の泌む身かな 芭蕉 永遠に立ちむかうには ふるさとを背後にして 果しなく遠く ...
追いつめられて 逃げ場をうしない 思いあまった変身の このかなしい無防備 もう渇きもせず 濡れること ...