「鳥の一瞥」 (北川冬彦)

胴体から
首が
離れていていゝわけはないように

指が腕から
足が脚から
離れていていゝわけはない

しかし
腕から指が
脚から足が
離ればなれに飛散している情景は

鳥の一瞥いちべつ
その小さな網膜に まざまざと焼付けている
鳥は墜ちても
その情景は 小さな網膜と倶に腐化し去ることはないであろう

飛散した指は
足は
首は
その位置を恢復せねばならぬ
その位置を恢復せねばならぬ
(飛散した指が 足が 首が 瞑目するのはそのときである)