「闇」 (笹沢美明)

果てしない闇が樹の枝に引掛つてゐる
ーつの手があちこちの戸を締めてゐる
家をいたはるやうに 叮嚀ていねい
もう幾つの闇がこの家をとりまいたらう
一つの家が咳をしてゐる
夜の花片がその前で閃めいて
消えて行くひまに