「街」 (北園克衛)

自動車が林檎のやうに光る
彼女たちが美粧院の小さな塔のやうに散歩する
とある硝子に頬をよせて
ふと秋の冷たさを知つた
手をあげて
しかし何も呼び給ふな
風は眼鏡をかけて立ち上る