「太陽」(西脇順三郎)

カルモヂインの田舎は大理石の産地で
其処で私は夏をすごしたことがあつた。
ヒバリもゐないし、蛇も出ない。
ただ青いスモゝの薮から太陽が出て
またスモゝの薮へ沈む。
少年は小川でドルフィンを捉へて笑つた。
         『ambarvalia』


あの大理石の産地

カルモヂンの里に
夏を過した
ひぱりもゐないし蛇も出ない
ただいびつの毒李の薮から
太陽がのぼり曲つて
また李の薮に沈んで行く
時々少年は小川の流れで
ドルフィンを捉へて笑つた
      『あむばるわりあ』