「乞食」 (村野四郎)

彼の襤褸は
日光のなかでかがやいているが
貧はそれより もっと透明だから
その中に蹲っている彼が
よく見えてくる
すべてが溶けてしまった後の
核のように

時がたつと
薄れた陽ざしの中から
あたらしい陽ざしの中へ
ゆっくり 彼は移る

存在が移動するのだ
よるべない幼児のように
随いてくる魂をつれて